人気のあるオープンソースプロジェクトが成長するにつれて、バランスを保ち、長期的にリフレッシュし、生産性を維持するために明確な境界線を設定することが必要になります。
メンテナーの経験とバランスを取るための戦略を知るために、私たちは 40 人の maintainer community のメンバーとワークショップを行い、彼らのオープンソースでの燃え尽き症候群に対する第一線での経験と、バランスを保つための実践を学ぶことができました。ここで「パーソナルエコロジー」という概念が登場します。
「パーソナルエコロジー」とはなんでしょうか?described by the Rockwood Leadership Institute によると、「生涯にわたってエネルギーを維持するために、バランス、ペース、効率を維持すること」を意味します。これにより、私たちの会話のフレームワークを作り、メンテナーが自分の行動や貢献を、時間とともに進化する大きな生態系の一部であると認識する助けとなりました。燃え尽き症候群は、WHO によって定義されるように 、慢性的な職場でのストレスから生じる症候群であり、メンテナーの間では珍しくありません。これは、モチベーションの喪失、集中力の欠如、および共同作業者やコミュニティとの共感の欠如に繋がります。
パーソナルエコロジーの概念を取り入れることで、燃え尽き症候群を積極的に回避し、セルフケアを優先し、最高の仕事をするためのバランスを維持することができます。
メンテナーとしてのセルフケアと燃え尽き症候群を回避するためのヒント
オープンソースで働く動機を明確にする
オープンソースのメンテナンスのどの部分にあなたの活力が湧いてくるか、じっくり考えてみましょう。あなたのモチベーション理解することで、新しい課題に取り組む準備ができ、仕事に優先順位をつけることができます。ユーザーからの好意的なフィードバックであれ、コミュニティとの協力や交流の喜び、コードに没頭する満足感など、あなたのモチベーションを認識することで、集中力を高める指針になります。
バランスを崩し、ストレスを感じる原因を振り返る
燃え尽きてしまう原因を理解することは重要です。オープンソースのメンテナーの間で見られるいくつかの共通のテーマは以下の通りです。
- 肯定的なフィードバックの欠如: ユーザーは苦情があるときに接触する可能性が高いです。全てが順調に進んでいる場合、ユーザーは黙っている傾向があります。あなたの貢献がどのような変化をもたらしているかを示すポジティブなフィードバックがないまま、問題のリストが増えていくのを見るのは、がっかりするでしょう。
- 「No」と言わない: オープンソースプロジェクトでは、必要以上の責任を負うことは簡単です。それがユーザーであれ、貢献者であれ、他のメンテナーであれ、彼らの期待に答えられるとは限りません。
- 一人での作業: メンテナーであることは非常に孤独です。例え同じメンテナーのグループで働いていたとしても、ここ数年、分散チームを直接集めるのは難しくなっています。
- 時間やリソースの不足: これは特にプロジェクトに取り組むために自分の自由な時間を犠牲にしなければならないボランティアのメンテナーにとって特に当てはまります。
- 矛盾する要求: オープンソースは様々な動機を持ったグループで溢れており、その間を行き来するのは難しいことがあります。オープンソースの仕事で給料をもらっている場合、雇用主の利益はコミュニティの利益と対立することがあります。
燃え尽きの兆候に注意
あなたは 10 週間、10 ヶ月、10 年とこのペースを続けることができますか?
@shaunagm による Burnout Checklist や のようなツールがあり、自分の現在のペースを振り返り、調整できる点があるかどうかを確認することができます。一部のメンテナーは、睡眠の質や心拍数変動 (両方ともストレスに関連している) のような指標を追跡するためにウェアラブル技術も利用しています。
自分自身とコミュニティを維持し続けるためには何が必要だろうか?
これは各メンテナーによって異なり、生活の段階や外部要因によって変わるでしょう。しかし、以下は私たちが耳にしたいくつかのテーマです:
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コミュニティに頼る: 仕事の委譲や貢献者の探し方は、仕事の負担を軽減できます。プロジェクトの連絡窓口を複数持つことで、心配することなく休憩を取ることができます。Maintainer Community のようなグループで他のメンテナーや広いコミュニティと繋がることができます。これは、相互支援や学びのための素晴らしいリソースとなるでしょう。
ユーザーコミュニティとの交流方法も探して、定期的にフィードバックを受け取り、オープンソースの作業の影響を理解することができます。
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資金調達をさぐる: ピザのお金を探しているのか、フルタイムのオープンソースを探しているのか、サポートするリソースはたくさんあります!最初のステップとして、GitHub Sponsorsを有効にして、他の人があなたのオープンソースの作業をスポンサーすることを許可します。フルタイムに移行することを考えている場合は、次回の GitHub Accelerator に応募してみて下さい。
- ツールを使う: GitHub Copilot や GitHub Actions のようなツールを使って、退屈な作業を自動化し、より意味のある貢献のために時間を確保しましょう。
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休息と充電: オープンソース以外の趣味や興味の時間を作りましょう。週末は休んでリフレッシュし、GitHub status に反映させましょう!一晩ぐっすり眠れるかどうかで、長期的な努力を継続できるかどうかが大きく変わってきます。
プロジェクトのある側面が特に楽しいと感じるのであれば、その楽しさを 1 日を通して体験できるように仕事を構成してみましょう。
- 境界線を設ける: 全ての要求に「 Yes 」と言うわけにはいきません。これは、「今すぐそれに対応することはできませんし、将来的にも考えていません」とシンプルに伝えることや、READMEに自分が取り組みたいことや取り組みたくないことを明記することも含みます。例として、「明確な理由が示されたPRだけをマージする」とか、「隔週の木曜日の18時から19時にだけ問題をレビューする」といったことを伝えることができます。これにより、他の人たちに対する期待値を明確にし、また、あなたの時間に求められることに対して柔軟に対応するための基準を提供することができます。
不利益な行動や否定的な交流を断ち切る毅然とした態度を身につけましょう。どうでもいいことにはエネルギーを使わなくても大丈夫です。
忘れないでください、パーソナルエコロジーは継続的な実践であり、オープンソースの旅を進める中で進化していきます。自分自身のケアを優先し、バランスを保つことで、効果的かつ持続可能にオープンソースコミュニティに貢献できます。これにより、あなた自身の幸福とプロジェクトの長期的な成功の両方を確保することができます。
その他のリソース
- Maintainer Community
- The social contract of open source, Brett Cannon
- Uncurled, Daniel Stenberg
- How to deal with toxic people, Gina Häußge
- SustainOSS
- Rockwood Art of Leadership
- Saying No, Mike McQuaid
- Governing Open
- Workshop agenda was remixed from Mozilla’s Movement Building from Home series
貢献者
このガイドのために経験やヒントを提供してくれた全てのメンテナーに感謝します!
このガイドブックは、@abbycabs によって作成されました。:
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